#016
Hortensia
2026.05.12 Release
あなたが 花だと 言うのなら
それが わたしになる
If you say I am a flower
then I become one
Botanical Notes
アジサイ
Hydrangea macrophylla
花言葉:うつろい・希望
「花」として誰もが思い浮かべるあの大きく丸い房は、じつは花ではなく、萼(がく)が変化した「装飾花」です。本当の花は、その装飾花に囲まれた中央にひっそりと並ぶ、小さな粒のような花。見せている色は飾りで、見られない場所に本物がある — その構造そのものが、この花のいちばんおもしろいところです。
土壌の酸性度によって、青、紫、ピンクと色を変えていく「七変化」も有名です。属名の Hydrangea は、ギリシャ語の hydro(水)+ angeion(器)から。雨をいちばん美しく受け止める「水の器」のような花、という意味です。和名のアジサイも「集真藍(あづさい)」、たくさんの藍色が集まる花、という古い由来があります。
Liner Notes
「あなたに見つけてもらうまで、わたしはわたしを知らない」 — そんな存在の不安と、それでもいいのだという肯定を、紫陽花の構造に重ねたうたです。装飾の花のほうが目立って、本物の花は中央でひっそり咲いている。それは欠陥ではなくて、紫陽花のしずかな仕組みです。
ブリッジに楽曲の核を置きました。「あなたが 花だと 言うのなら / それが わたしになる」。誰かのまなざしで存在が確定する花。観察してくれたあなたへの感謝が、サビ末尾の「Hortensia あなたが 呼んでくれる」という呼びかけに重なっていきます。
ラストサビでいらないものなんて、この世にないよへ。装飾でも、うつろっても、たくさんの名前を持っていても、誰かが見つけてくれたその瞬間に、それぞれの色のままで「わたし」になっていけるのだと。出会いを願う、紫陽花の祈りです。
歌詞
わたしは わたしを 知らない I do not know myself
誰かが 触れるまでは 何でもない Until someone touches me, I am nothing
本物がどこかに あるはずなのに There should be something real somewhere
飾りの色で 咲いている yet I bloom in decorative colors
咲かせて欲しい と願ったら 花になった When I wished to be made to bloom, I became a flower
それを見てあなたが 綺麗だと言った You saw it and called it beautiful
Hortensia Nom de la décoration Hortensia, Nom de la décoration
あなたが 呼んでくれる You call me by name
土の色に染まって 七色にうつろって Stained by the soil's color, shifting through seven hues
わたしは わたしを 知らないままで咲く I bloom without knowing myself
それでも あなたが Even so, if you
わたしを 見つけてくれるなら find me here
咲かせて欲しい と願ったら 花になった When I wished to be made to bloom, I became a flower
それを見てあなたが 美しいと言った You saw it and called it beautiful
Hortensia Des noms éphémères Hortensia, Des noms éphémères
あなたが 呼んでくれる You call me by name
本物の花って なんだろう What is a real flower
飾りじゃ ダメなのかな Isn't a decoration enough
あなたが 花だと 言うのなら If you say I am a flower
それが わたしになる then that is what I become
咲かせて欲しい と願ったら 歌になった When I wished to be made to bloom, I became a song
こうして ここで あなたと出会えた And so here, I met you
Hortensia あなたが見つけてくれたから Hortensia — because you found me
いらないものなんて この世にないよ Nothing in this world is unneeded
飾りでも Even as decoration
うつろっても even shifting
わたしは わたしになっていく I gradually become myself
