#006
Cima di Rapa
2026.05.11 Release
あなたの 風が 来るまでの 時間
The time until your wind comes
Scenes



Botanical Notes
チーマ・ディ・ラーパ — Brassica rapa — 花言葉: 小さな幸せ・快活な愛
南イタリアで親しまれる菜の花のなかま。日本の菜の花と同じ仲間で、ほろ苦い若い花茎とつぼみを、花が開ききる前に食卓へ届けます。
アブラナのなかまの多くは「自家不和合性」を持ち、自分の花粉では実を結べません。風や虫が運ぶ、別の株の花粉を待ってはじめて、種を結びます。
ひとりでは完結できないことは、欠けているのではなく、誰かと出会うためにひらかれた性質なのかもしれません。
Liner Notes
チーマ・ディ・ラーパが、自分の花粉だけでは実を結べない「自家不和合性」の花だと知って、この曲を書きました。ひとりで結べないから、風が来るまで、揺れて待っている。
「ひとりで完結しなければ」と急いでしまう心に、「ひとりで結ばなくていい」と風が言う。完結できないことを、失敗ではなく、誰かと出会うための余白として歌いたいと思いました。
風が来ない夜も、結ばれない朝も、待つ仲間がここにいます。
歌詞
わたしは 名前のない場所で 眠っていた
甘さも 苦さも 全部 抱きしめて
風が 流れを変えた朝
古いわたしは ほどけて 軽くなった
高い場所に 名前が 与えられた
──Cima di Rapa、と 誰かが 呼んだ──
過去のわたしは 深い場所
ひとりで 完結しなければと
息を 急いでいた
ひとりで 結べないから わたしは 揺れている
あなたの 風が 来るまでの 時間
いらないものなんて この世にないよ
失った場所で 始まりが ひらく
あなたの 風を 呼んでいる
Cima
重ねた朝も 重ねた夜も
わたしの中で 結ばれずにいる
焦っても 風は 起こせないのに
追い立てる 声が 増えていく
──風が 来ないと わたしは 揺れない──
急いで 急いで 急いで 急いで
結べない自分を 抱きしめている
ひとりで 完結しなくていい
あなたの 風 待っていい
ひとりで 結ばなくていいと 風が 言った
触れた瞬間 わたしは ひらいていく
いらないものなんて この世にないよ
失った場所で 春が 揺れている
あなたが ここに いる ということ
Cima
過去の あなたを 手放した あなたへ
わたしも 古い名前を ほどいた
ひとりで 結ばないことを 選んだ仲間
風が 来るまで 一緒に 揺れていよう
ひとりで 結べないから わたしは 揺れている
あなたの 風が 来た瞬間 わたしは 花になる
いらないものなんて この世にないよ
失った場所で 何度でも 始まる
だから あなたも ひとりで 急がなくていい
風を 待つ仲間が ここに いる
Cima
風が 来ない 夜も
結ばれない 朝も
それでも わたしは ここで 揺れている
Cima
